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三花 二〇一二年 七月十三日
始まりはこの日だった。
「え!? それで! 二葉は無事なんですか!」
夕方四時過ぎにかかってきた一本の電話。
お母さんがとって、暫くすると取り乱したように金切り声をあげた。
「どうしたの? お姉ちゃんになにかあったの?」
お姉ちゃんはここ数日おかしかった。
夜遅くまで帰って来ないし、ご飯もほとんど食べない。全然寝てないし、朝もお兄ちゃんを置いて異常に早く出ていく。声をかけても上の空。
慌ててお母さんに駆け寄ると、お母さんは電話を置いて震える声で話してくれた。
「学校が、二葉のクラスがち、血だらけでっ、みんな亡くなってるって……。二葉はっ、二葉だけは無事だけどっ、病院、病院に運ばれたってっ」
そこからは無我夢中だった。
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