三花 二〇一二年 七月十三日

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「二葉は、二葉は無事なの?」  そう聞くお母さんの声も震えていた。 「うん、外傷はないって、先生が……。でも、あいつ動転しててっ、ずっとごめんなさいごめんなさいって、繰り返しててっ、そしたら! さっき、信吾の名前呼びながら、暴れてどこか行こうとしてっ、危険だからって、さっき薬打たれてっ、今、寝てる……」  それで、さっき俺も警察に声かけられた。後で話があるって。  そう続けたお兄ちゃんの声は、今にも消え入りそうだった。 「ふ、二葉が、信吾君達をこ、こっ殺したっていうの?」 「そんなことっ、あいつにできるわけないだろ! それに、ちょっと前まで普通に話し声してたんだ! どうやってあんな短時間で、一人で二十人以上殺すんだよ!」 「じゃあ、何があったって言うのよっ……」 「わかんねえよ、そんなことっ」  わけがわからなくて。  お兄ちゃんも、お母さんも立っていられないくらい気が動転していて。  暫く廊下に立ち尽くした。
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