45人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「二葉は、二葉は無事なの?」
そう聞くお母さんの声も震えていた。
「うん、外傷はないって、先生が……。でも、あいつ動転しててっ、ずっとごめんなさいごめんなさいって、繰り返しててっ、そしたら! さっき、信吾の名前呼びながら、暴れてどこか行こうとしてっ、危険だからって、さっき薬打たれてっ、今、寝てる……」
それで、さっき俺も警察に声かけられた。後で話があるって。
そう続けたお兄ちゃんの声は、今にも消え入りそうだった。
「ふ、二葉が、信吾君達をこ、こっ殺したっていうの?」
「そんなことっ、あいつにできるわけないだろ! それに、ちょっと前まで普通に話し声してたんだ! どうやってあんな短時間で、一人で二十人以上殺すんだよ!」
「じゃあ、何があったって言うのよっ……」
「わかんねえよ、そんなことっ」
わけがわからなくて。
お兄ちゃんも、お母さんも立っていられないくらい気が動転していて。
暫く廊下に立ち尽くした。
最初のコメントを投稿しよう!