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「お姉ちゃんっ!」
言いたいことはたくさんあるのに、それしか言葉にできなかった。
泣くことしかできない三花を、二葉もきついくらいに抱き締める。
「ごめんねっ、ごめんねっ! ずっと謝りたかった、謝りたかったのっ! たくさん辛い思いをさせちゃって、ごめんねっ! みんな、大変だったよねっ。本当にごめんねっ! 三花、こんなにっ、大きくなったんだねっ!」
姉の言葉に、三花の涙はいよいよ止まらなくなった。
「なあ」
泣きじゃくるばかりの二人に切り込んだのは、飯野卓哉だ。
「本当にここどこなんだよ!? これ、現実なのか? あんた誰なんだよ!」
「そ、そーだ! あんたもおまじないをしたって、どういうことだよ」
宇田川昌平も続く。
そうしてようやく、二葉は三花を抱き締めるのをやめてクラスメイト達の方へ向き直った。
「私は切山二葉。三花の姉で、私も七年前にクラスのみんなと『ナノカさんのおまじない』をしたの」
もう涙は出ていないし、その目はしっかりとクラスメイト達を見据えてる。だけど、声は大げさな程に震えていた。
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