三花 七月七日

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 そんな中で、三花は姉の右手にゆっくり手を伸ばした。 「三花?」  よくこうして手を繋いでもらった。昔は大きく感じたけれど、今は全然変わらない。背も、きっと抜いてしまった。 「お姉ちゃんだけ生き残ったなら……何でお姉ちゃんはここにいるの……? 何で、七年前から変わってないの……?」  嫌な予感は当たらないでほしい。  でも希望は打ち砕かれた。 「私、もう死んでるの」 「えっ……」 「現実世界で死んじゃって、でもこの世界では『ちょっとだけ正解』を出したから死ねなくて、ここに閉じ込められてるの」  二葉はそう言うと、痛々しい程に辛そうな微笑みを浮かべて三花の手を握り返した。 「あなた達は私みたいにならないで。生きて、戻ってね?」  もう死んでる。  七年間も閉じ込められている。  あまりのことに誰も何も返せない。  
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