三花 七月六日

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三花 七月六日

   キーンコーンカーンコーンカーンキーンコーンキーン  いつものチャイムの音が鳴り響くと共に、教室の椅子は一斉に音をたてた。 「おいこら、まだ授業終わりだって言ってないだろ!」  呆れたように叫ぶのは、担任の数学教師永沢一馬だ。 「えー。永やん、ほぼ終わりじゃん」 「そうだよー。あー疲れた!」 「私はこれから部活だよー」  クラスのお調子者・飯野卓哉に、サッカー部の近藤透、陸上部のエース・沖田めぐみも続く。クラスの大半が立ち上がったのを見て永沢先生も諦めたらしい。 「あーもうしょうがねえなあ! 今日の授業はこれで終わりな。明日もみんな遅れず来いよ」  苦笑して教室を出て行った。  それを合図に教室は一気に喧騒に包まれた。 「那智、寄り道して行かない?」 「いいね! タピオカ飲みたい!」 「なあ、今日俺んち来いよ。親帰り遅いんだ」 「お、ラッキー! 行く行く!」  東京都立桜庭高校二年一組。都心から少し外れた場所に位置し、広いグラウンドがあることから、部活動も盛ん。活気に溢れた高校で、二年一組も例に漏れず和気藹々としたクラスだ。
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