三花 七月七日

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 そんな空気を変えるかのように、二葉はまたみんなに笑いかけた。 「私のこと気にしてる場合じゃないよ? 時計を見て」  二葉が指したのは黒板上につけられた、昔からある丸時計だ。時刻は四時五分を示している。 「制限時間は二つ。あなた達がおまじないをした午後三時三十分から一時間後の、午後四時三十分までに誰もナノカさんを呼ばなければ、ナノカさんが四人殺しに来る。そして、午後五時になればおまじないは終わり。まだ探したくても強制的に現実世界に戻されちゃう。急いだ方がいいよ」 「そんな! あと二十五分しかない!」  叫んだのは沙月だ。 「さ、探さないと!」 「やべえよ!」 「ヒント! ヒントとかないのっ? ちょっとだけ正解って何!? あとっ、今までやってダメだった物とかっ!」  友華の絶叫に近い問いかけに、二葉は首を振ることで答えた。 「ダメ。そういうのを私が教えるのはズルだって……聞いた人は殺されちゃう」 「そんなっ」  教室を恐怖が支配した。
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