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最初に立ち上がったのは透だった。
「こんなことしてても仕方ないだろ。とりあえずここを出て、探さないと!」
「でも……外に出たらあの化け物がいるんだろ? ここにいた方が安全だ」
生徒会副会長の後藤正一は座り込んだまま、静かに言う。
「さっき言ってたろ、見つかったらすぐに近くの教室に逃げて扉を閉めたらいいって! ここにいたって殺されるだけだろ?」
次に反論したのは軽音楽部の藤井哉子だ。
「でも、この人が言ってることが本当かなんてわからないじゃん! 化け物がいるってわかってるのにわざわざ殺されに出るの⁉︎」
「そんな! お姉ちゃんは嘘なんて!」
「そうだ! もし本当だとしても、誰が最初にやるんだよ! 俺は嫌だからな!」
卓哉も。
「わ、私も嫌!」
友華も。
「確かにっ……二十五分で見つからなきゃ、誰かが犠牲になるのか?」
「そんな! 絶対嫌っ!」
誰もが叫ぶように言って、収拾がつかない。立ち上がったままの透に、正一が言った。
「出るにしたって、その前にどうするか決めよう。あと二十分ちょいで誰かが犠牲になってナノカさんを呼ぶのか、それとも、何もしないのか」
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