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「ナノカさんは絶対に殺しに来る……何もしないのはやめた方が」
二葉が止めたけれど、もう聞く耳を持ってはくれなかった。
「なら、誰が死ぬか決めろって言うのかよ! 化け物から逃げられるなら、ナノカさんからも逃げられるんじゃないか?」
その言葉に、みんなすがるように頷いてしまう。
「確かに!」
「三十分逃げればいいのよね? それなら……」
「どうにかなるかもしれないよな!」
「それより、教室に入って来れないようにバリケード作ればいいんじゃない?」
沙月が言うと、その場は一気に沸き立った。
「それだ!」
「そうよ! 机を重ねて、籠城しちゃえばいい!」
「バリケード作るなら、もう二十分ないぞ?」
「男子! 急いで机並べるぞ!」
昌平が動いたのを皮切りに、男子生徒が一斉に動き出す。教室の前後の扉を支え棒で開かないようにし、更に机を重ねて並べていく。
三花が見ていることしかできずにいると、繋いだ左手が強く握られた。
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