三花 七月七日

10/19

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「ナノカさんは絶対に殺しに来る……何もしないのはやめた方が」  二葉が止めたけれど、もう聞く耳を持ってはくれなかった。 「なら、誰が死ぬか決めろって言うのかよ! 化け物から逃げられるなら、ナノカさんからも逃げられるんじゃないか?」  その言葉に、みんなすがるように頷いてしまう。 「確かに!」 「三十分逃げればいいのよね? それなら……」 「どうにかなるかもしれないよな!」 「それより、教室に入って来れないようにバリケード作ればいいんじゃない?」  沙月が言うと、その場は一気に沸き立った。 「それだ!」 「そうよ! 机を重ねて、籠城しちゃえばいい!」 「バリケード作るなら、もう二十分ないぞ?」 「男子! 急いで机並べるぞ!」  昌平が動いたのを皮切りに、男子生徒が一斉に動き出す。教室の前後の扉を支え棒で開かないようにし、更に机を重ねて並べていく。  三花が見ていることしかできずにいると、繋いだ左手が強く握られた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加