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場を恐怖が支配する中、少女はまたニンマリと口を開いた。
『ナノカノ大切ナ物ヲ見ツケテクレタラ何デモ願イヲ叶エテアゲル。ミンナヲ生キテ帰シテアゲル。キャギャギャキャハハハハハッ!』
少女はそう言うと、生徒の周りを縫うように一周して、入ってきたドアから駆けて出ていった。
気配が完全になくなってから、二葉はようやく三花を放した。それと同時に生徒達も一人、また一人と動きを取り戻す。
「な、何だよあれっ……」
「友華と、莉子がっ、し、死んじゃっ」
「殺されるっあんなの敵うわけがないっ! 殺されるっ!」
「いやだぁぁっ!」
ほとんどがパニック寸前か放心状態。あまりの異臭と光景に吐き出す生徒もいる。
そんな中、二葉は自分の上履きが血に濡れるのも厭わず、生徒達の方へ歩み寄った。
「あれがナノカさん。ナノカさんからは逃げられないの。みんな、立って。急いで移動しないと」
「移動……? 何で?」
「これだけ騒いだら、今度はあの怪物達が寄ってきちゃう。だから、その前に」
数人が走り出すのは、二葉が言い終えるより早かった。
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