三花 七月七日

13/19

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
 場を恐怖が支配する中、少女はまたニンマリと口を開いた。 『ナノカノ大切ナ物ヲ見ツケテクレタラ何デモ願イヲ叶エテアゲル。ミンナヲ生キテ帰シテアゲル。キャギャギャキャハハハハハッ!』  少女はそう言うと、生徒の周りを縫うように一周して、入ってきたドアから駆けて出ていった。  気配が完全になくなってから、二葉はようやく三花を放した。それと同時に生徒達も一人、また一人と動きを取り戻す。 「な、何だよあれっ……」 「友華と、莉子がっ、し、死んじゃっ」 「殺されるっあんなの敵うわけがないっ! 殺されるっ!」 「いやだぁぁっ!」  ほとんどがパニック寸前か放心状態。あまりの異臭と光景に吐き出す生徒もいる。  そんな中、二葉は自分の上履きが血に濡れるのも厭わず、生徒達の方へ歩み寄った。 「あれがナノカさん。ナノカさんからは逃げられないの。みんな、立って。急いで移動しないと」 「移動……? 何で?」 「これだけ騒いだら、今度はあの怪物達が寄ってきちゃう。だから、その前に」  数人が走り出すのは、二葉が言い終えるより早かった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加