三花 七月七日

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「ちょっと待って!」 「こんなところにいたらっあの化け物が来ても逃げ場ないじゃねえか!」  高畑晋司は二葉が止めるのも無視して、ナノカさんが倒した扉を越えて廊下に出た。それに那智や川井祐介、吉野川唯らも続く。 「早くっ扉のあるところっ! 逃げないとっ」 「いやぁっ! いやあぁぁっ!」 「待って! 落ち着いて! 静かにしてれば大丈夫だから、一度こっちに戻って!」 「どこでもいい! 早くっ」  四人が廊下の向こうに消えるのと、扉の向こうを黒い塊がすごいスピードで通り過ぎるのとは、一拍の間もなかった。 「えっ」  そう言った時にはもう遅い。  ドンドンッという、すごい衝撃で物がぶつかったような鈍い音が辺りに響く。 「那智!」 「高畑! 川井!」 「唯っ!」  慌てて廊下に出れば、四人の姿は廊下の向こう、行き止まった場所にあった。壁に叩きつけられたらしい。ぐったりして動けないでいる。  そして、四人との間には黒い塊が二つ。人一人より大きい黒いニワトリの化け物達が揃ってこちらを睨んでいる。
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