45人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「みんな……私が合図したら、隣の教室に飛び込んですぐに扉を閉めて」
二葉はニワトリ達に視線をやったまま小さな声で言った。
「あいつらはっ!」
「そうよ、助けないと!」
「シッ」
助けに向かおうとする透と沙月を制し、一歩前に出る。
「私があいつらを引き付けるから、私の声が聞こえなくなったら助けに行って」
「お姉ちゃん!」
「大丈夫だから。私、この世界では死にたくても死ねないの。助けたらすぐに近くの教室の中に入って、扉を閉めてね」
そう言うと、二葉はあろうことかニワトリ達に向かって走り出した。ニワトリの注意が完全に自分に向かったのを確認し、叫ぶ。
「今! 行ってっ!」
「お姉ちゃんっ!」
「切山さん! 行かないと!」
二葉とニワトリの距離はもうほとんどない。
やっと会えたお姉ちゃん。行かないで。一緒に逃げよう。
そう言いたくても沙月に手を引っ張られ、三花には隣の教室に逃げ込むことしかできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!