三花 七月七日

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「みんな……私が合図したら、隣の教室に飛び込んですぐに扉を閉めて」  二葉はニワトリ達に視線をやったまま小さな声で言った。 「あいつらはっ!」 「そうよ、助けないと!」 「シッ」  助けに向かおうとする透と沙月を制し、一歩前に出る。 「私があいつらを引き付けるから、私の声が聞こえなくなったら助けに行って」 「お姉ちゃん!」 「大丈夫だから。私、この世界では死にたくても死ねないの。助けたらすぐに近くの教室の中に入って、扉を閉めてね」  そう言うと、二葉はあろうことかニワトリ達に向かって走り出した。ニワトリの注意が完全に自分に向かったのを確認し、叫ぶ。 「今! 行ってっ!」 「お姉ちゃんっ!」 「切山さん! 行かないと!」  二葉とニワトリの距離はもうほとんどない。  やっと会えたお姉ちゃん。行かないで。一緒に逃げよう。  そう言いたくても沙月に手を引っ張られ、三花には隣の教室に逃げ込むことしかできなかった。
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