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全員が隣の教室に駆け込むと、真っ先に中に入った透がピシャリと戸を閉じた。
「全員いるなっ!?」
「あ、ああ……」
最初にできた会話はそれだけだ。
「こっちよ! こっち!」
二葉の声とニワトリの鳴き声はまだ近くに聞こえるけれど、注意を引くことには成功したらしい。少しずつ昇降口の方に向かっているのがわかる。
それが確認できて、ようやくまともに息を吐き出すことができた。
「行ったな」
「大丈夫、そうだ……」
透と昌平が呟いたのを合図にバラバラとその場に崩れ落ちた。
たった数メートルの移動。隣の教室に移っただけなのに、緊張と恐怖で息があがる。大半の生徒が言葉を発することすらできずにいる。
しかし、三花の中では恐怖よりも何よりも、喜びと悲しみの方が勝った。
ーーお姉ちゃんにまた会えた。
ーーやっぱり、殺人犯なんかじゃなかった。
ーーお姉ちゃんがもう死んでるなんて。
ーーあの日、置いていかなければ。
ーーまた、手を離しちゃった。
「あいつら助けに行かないと」
「全員で行ったって危ないだけだ。足が早くて、ある程度冷静な奴だけで行こう。俺と、透と……」
「私が行くよ」
「沖田、助かる。あと誰か」
少しでも姉の役に立ちたい一心で。
「私も行く!」
迷うことなく名乗りをあげた。
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