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「よし、じゃあ、俺、昌平、沖田、切山な。俺が外を見回して何もいなければ、一気に走って行くぞ。残る奴は俺らが出たらすぐに閉めてくれ」
「わかった」
二葉の声はもう聞こえない。
透は静かに扉を開けて、辺りを窺った。廊下は自分達が踏んでできた血の足跡と隣の教室の扉の残骸がある以外は綺麗なもの。物音も、何かが動く気配もない。
「よし、行くぞ」
合図と共に飛び出した。
できるだけ速く。できるだけ足音をたてずに。途中、昇降口へ続く道との合流地点でだけ止まって様子を窺ったけれど、そこでも何の気配も感じられない。
すぐに四人のもとへたどり着く。
「那智! 唯!」
「大丈夫か!」
「んっ……」
小声で呼びかけて反応があったのは、那智一人。
「とりあえず抱えてそこの教室に! 沖田、町田のこと運べそうか?」
「大丈夫。那智、起こすよ」
めぐみはそう言って、那智を抱え起こした。ぐったりはしているけれど、血も出ていないし大きな怪我はなさそうだ。
それを確認すると、今度は透が晋司の肩を支える。
「昌平! 川井を頼む! 切山さんは吉野川を!」
「うん」
「わかった!」
三花もそう答えて、唯を抱え起こそうとした。
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