三花 七月六日

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 そんな中、切山三花は黙々とくたびれた鞄に教科書を詰め込んだ。友達なんていないし一人で帰るのもいつものこと。  だけど今日はその前に呼び止められた。 「あ、切山さんも来ない? 私達これからタピオカミルクティー飲みに行くんだけど」  一つ前の席の高居沙月だ。周りにいた女子達が、驚いた表情で沙月を見る。 「え?」 「駅前に新しくできたタピオカミルクティーもう飲んだ? あれすっごく美味しいんだよ! この時間ならそんなに並ばないし、一緒に行かない?」 「ごめん、用事があるから」 「そっか。ならまたね」 「……うん」  あえて素っ気なく返して教室を出た。 「切山さんって何考えてるかわからないよねー」 「わかる! 転校してきた時から馴染もうとしてないっていうか、仲良くする気がないっていうか」 「切山、変わってるよな。ずっと前の学校の鞄使ってるし」 「だよねー!」  背後から色んな声が聞こえるけど、そんなの無視だ。  今までよりマシ。  どうせ長くはいれないし、そんなお金ないし。  自分に言い聞かせて歩みを速めた。
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