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そんな中、切山三花は黙々とくたびれた鞄に教科書を詰め込んだ。友達なんていないし一人で帰るのもいつものこと。
だけど今日はその前に呼び止められた。
「あ、切山さんも来ない? 私達これからタピオカミルクティー飲みに行くんだけど」
一つ前の席の高居沙月だ。周りにいた女子達が、驚いた表情で沙月を見る。
「え?」
「駅前に新しくできたタピオカミルクティーもう飲んだ? あれすっごく美味しいんだよ! この時間ならそんなに並ばないし、一緒に行かない?」
「ごめん、用事があるから」
「そっか。ならまたね」
「……うん」
あえて素っ気なく返して教室を出た。
「切山さんって何考えてるかわからないよねー」
「わかる! 転校してきた時から馴染もうとしてないっていうか、仲良くする気がないっていうか」
「切山、変わってるよな。ずっと前の学校の鞄使ってるし」
「だよねー!」
背後から色んな声が聞こえるけど、そんなの無視だ。
今までよりマシ。
どうせ長くはいれないし、そんなお金ないし。
自分に言い聞かせて歩みを速めた。
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