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「助かったぁっ!」
二葉の言う通り、扉を閉めてしまえば襲ってくる気配はない。
ほっと息を吐く。
そうしてようやく周りを見回すことができた。ここは図工室らしい。工作机と椅子が等距離に置かれている。そして向こう端の中央には他の教室と同じ丸時計。時刻は午後四時五十九分を示していた。
「あ、見て」
「どうした?」
「時間!」
三花が時計を指差した瞬間、周りの景色は一変した。
「え!?」
「どうなってんだ?」
「ここっ!」
「戻った!」
一瞬の浮遊感の後、気づくと三花達は自らの教室にいた。おまじないをした時のまま、円を描くように立っている。
透や昌平、めぐみは勿論、怪我をしていた筈の那智と晋司、教室に残った筈の沙月や卓哉もいる。まるで何もなかったかのように、怪我も血だらけの制服も跡形もない。
ただ。
「あいつらの席がないっ!」
「鞄も! ロッカーもないよ!」
「嘘だろっ……」
「確かにいたよね!? 一緒におまじないしたよねっ!?」
「当たり前だろ! 三十人のクラスなのにっ、何でロッカーが二十二までしかないんだよっ……」
初めから存在しなかったかのように、亡くなった八人の痕跡が消えていた。
【7月7日 八名死亡・残り二十二名】
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