三花 七月八日

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三花 七月八日

 それからどうやって帰ったか、記憶はあまりない。  みんなで下駄箱を確認したけれど、八人の靴も名札もどこにもない。  先生や他のクラスの生徒にも聞いたけれど、誰も八人を覚えてない。  八人は存在ごとこの世から消えていた。  受け止めるには衝撃が大きすぎる。  解散し、フラフラと学校を出た三花は気づくと自宅で倒れるように眠っていた。  でも。現実を認めたくなくても、考えたくなくても、時は待ってはくれない。  嫌でも朝は来てしまう。  八日、三花が学校に行くと、那智や晋司といった七人が欠席だった。先生は首を傾げたけど、クラスメイトは何も言わない。どうせ信じてもらえない。  本来の半分の人数しかいない教室はやけに広く感じた。  そして、午後三時三十分。  三花達は昨日と同じ浮遊感の後、昨日と同じ教室に飛ばされた。 「何でだよっ! 学校休んだのに!」  晋司の絶叫が響いた。  それに答えたのは二葉だ。 「無駄よ。ナノカさんからは逃げられないって言ったでしょ? 学校を休んでも、県外に逃げても、海外に逃げたとしても、おまじないをした時間、この教室に連れてこられる」  二葉は待ち構えていたかのように、教壇の段差に腰かけていた。
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