三花 七月八日

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 その時だ。 「え……」  三花の視界の中で『白』が動いた。チョークがひとりでに浮き上がったかと思えば、黒板に文字を書き始める。 「なんでっ」 「誰もいないのに何で動くんだよっ!」  透達が声を上げても、文字は止まらない。 『 一、ナノカの大切な物を見つけてくれたら、何でも願いを叶えてあげる。みんなを生きて帰してあげる。 一、大切な物を見つけたら、大きな声でナノカを呼んで。 一、間違ってたら、殺してあげる。 一、一時間呼ばれなかったら、四人殺しに行くからね。 一、あの子達は鬼ごっこがしたいって。逃げながら探してね。 一、全員見つけられなかったら、全員死んで。 一、七日間で見つけられなかったら、全員死んで 』  その言葉に背筋が凍る。そして。 『早くしないと知らないよ?』  最後に血のような赤い文字が浮き上がった。 「いやぁーっ!」 「もうやだぁっ……」  那智は叫び、哉子はしゃがみ込む。他にも多くの生徒が床に膝をついた。三花だって近くに二葉がいなければきっと立っていられなかった。それくらい膝が笑っている。 「これ……あいつら一時間外にいるつもりじゃないよな……?」  昌平の祈るような言葉に、二葉は無常にも首を横に振った。 「いるよ。もうみんながここにいるって知っちゃってるから、出てくるまでいつまででもいる」 「そんなっ」
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