三花 七月八日

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「ならどうしたらっ……」 「……あなた達はどう思う?」  本当はわかっている。このままここで何もしなければ昨日のように四人殺される。かと言って外に探しに行こうものなら廊下の化け物達に襲われる。  できるのは『探し物を見つけてナノカさんを呼ぶ』事だけだ。でも、もし間違えたら……。  再び教室を沈黙が支配する。  その様子で理解してくれたのだろう。 「あと三十分あるわ。みんなでこの教室だけでも探して、呼ぶ人はその時考えればいい」  二葉が沈黙を破った。それしかない。 「みんな、探そう!」  透の言葉でようやく足が動いた。  教室にはそこまで多くの物はなかった。二十二人で手分けして探すと、真ん中の机に教室中の物が集まるまでそう時間はかからなかった。  前方からはチョークに黒板消し、黒板用の大きな定規と三角定規。後方からは飾ってある虫歯予防のポスターと、ロッカーの中にあった掃除用具。全ての机と生徒用ロッカーも見てみたけれど、一つずつを除いて何も入っていなかった。唯一机とロッカーに入っていたのは国語の教科書と上履きを入れる布バッグ。  でも確信はない。
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