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「全員書いたか?」
「……ああ」
「こっちも全員オーケー」
「わかった……」
あみだくじの用紙は最後に二葉に戻された。痛い程の視線と沈黙の中、紙が僅かに擦れる音がやけに大きく聞こえる。
◯印をつけた場所から上へ線をなぞり、そして辿り着いた。書いてあるのは苗字だけ。男子か女子かもわからないけれど、字は少し震えている。
「……倭多野さん」
一瞬の間。
「そんなっ……」
崩れ落ちたのは倭多野宏。生物部で魚の飼育を担当しているクラスでも大人しい男子生徒だ。
「何でっ……俺、あいつに殺されるのか……?」
まるで譫言のような言葉に、誰も何も答えられなかった。
どうしても助けを求めて二葉を見てしまう。三花も思わず姉の顔を覗き込んで、そして息を飲んだ。
「……そうね」
その表情は悲しくて、でも無理矢理微笑んでいる。
「もし間違えたら殺される。でもここにいる誰か一人でも正しい探し物を見つけられたら、生きて戻れるわ」
宏は数十秒俯いた後、何も言わずに小さく頷いた。
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