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細身でも豊かなバストの女ががら空きの電車に一人で乗っている。次の駅で男が二人乗ってきて、突然に女を拘束して体を弄ぶ。次第に乗り合わせる男が増えて、一人の女を様々な方法で蹂躙するという、中身のない、ただいやらしい行為を見せつけるだけの映像だった。
それでも思春期の少年には刺激がありすぎるくらいありすぎて、映像が始まってわずか十分もしないうちに、吉田が体をもぞもぞと動かし始めた。
「なぁ、していい?」
「え?」
「二人だけだし、俺の部屋だし、構わないよな?」
一瞬、言葉の意味がわからなかった。が、開が問うよりも先に吉田はベルトを緩めていて、あっという間に制服のスラックスとボクサーブリーフが、一つにまとまって膝まで下りる。
下半身があらわになり、開は吉田の変化したかたちを目の当たりにした。
開は、映像を見ても吉田と同じにはなっていない。
確かに刺激的な映像なのに、体の昂ぶりに結びつかないのは、自身のものがまだ幼いかたちのままだからだと思っていた。だが、吉田のその部分を見た途端、下腹部が急激に熱を帯びるのを感じて戸惑う。
きっと吉田の興奮が移ったのだ。
開は吉田の下腹から目をそらして映像に集中しようとした。
映像も、映像から聞こえる音もどんどん卑猥さを増している。それなのに吉田が手を動かす音や、漏れ出る吐息の方にどうしても意識が行ってしまい、その姿を横目で盗み見てしまうのだった。
もう何度も自己処理の経験があるのだろう。吉田の手は器用に動いている。吉田は行為に夢中になり、開が自分を盗み見しているなど、思いもしない。
「はぁ。んん、……っ」
『アアッ、ンウッ、アー』
画面の中の女の声と吉田の吐息が混ざる。さして大きな音でもないのにいやに耳にまとわりついて、頭の中を回遊する。
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