芽生え

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「っ……」  吉田は小さく体を震わせ、息を一つ吐いてから、ティッシュペーパーで排泄物を拭き取った。  開は慌てて視線を画面に戻したが、吉田は開の動きを捕らえていた。 「どうした? 開も反応した? すれば?」 「い、いいよ。恥ずかしい……」 「それ言われたら俺が恥ずかしい奴みたいじゃん。聞き捨てならない。よし、絶対脱がす!」  面白がる吉田の手がベルトにかかり、開はあせって抵抗した。 「ちょっと、吉田」 「大丈夫大丈夫。男同士だろ」    吉田はいたずらをする無邪気な幼子のように開を組み敷き、開の制服のスラックスをずらす。 「あれ、開、まだオコサマのままじゃん。これは人前で出したくないわけだ」 「もう、やめてよ。個人情報流出だよ」  どうにか出た反論をする開に、吉田はアハハ、と笑う。直後、ふと思いついたような顔をして、開の幼い部分に手を滑らせた。 「……! なに、なにするんだ、やめてよ!」  組み敷かれたままの体で精一杯抵抗する。画面の女性が電車の座席に押さえつけられているのと同じ格好だ。 「俺が大人にしてやろう」  吉田が物知り顔で笑って、そこを握った。  その瞬間。  体が大げさなくらいに跳ねて、局所めがけて血液が移動したかと思った。 「……嫌だ、やめて!」  必死の開とは対照的に、吉田は愉しそうにした。まるで玩具でも扱うかのように、手をリズミカルに動かす。 「俺も隣の大学生にやり方教えてもらってさ。大丈夫、俺に任せろって。痛いだけじゃないから」  自分に今起こっている出来事を理解するまでに、少しの時間が必要だった。  目の前にはいつものじゃれ合いの時と変わらない吉田の顔があるのに、その手は開の太もものあいだにある。  羞恥心と屈辱感で吉田を突き飛ばして殴ってやりたい。だが、痛みの中に時折交じる快感に力を抑えられ、手をはね除けることさえできなくなっていた。
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