芽生え

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「いやだ……や……ん、んんッ」    下腹にじれったさを感じ、ひとりでに腰が浮いた時、吉田が「お」と言って、手のアップダウンを早めた。 「……ンッ……!?」  鋭い痛みと、脳の中心が弾け飛ぶ感覚。  それが一つになり、体が大きくうねったあとにはもう、ティッシュがそこにかぶさっていた。 「セーフ。俺、ナイスキャッチ!」  吉田が歯を見せて笑って、処理に使ったティッシュを丸めて「シュート!」とゴミ箱に投げた。  まるで手加減無く遠泳を終えたあとのようだ。  激しい脱力感に、開は呆けてしまう。    吉田は、開の焦点の合っていない瞳には気づかず、目線がテレビ画面にあると思ったようで、 「終わってたな、DVD」 と言いながら、電源をオフにした。  それから開を振り返り「ほら、できてんぞ。見てみろよ」と顎で下腹を指した。  開は咄嗟に上体を起こし、下半身に目をやる。  制服のスラックスと下着がだらしなく足首にひっかかっている。そしてそこより上、初めて精を吐出し終えた開のものは、すっかり大人のかたちをしていた。 「終わり。あとは自分で拭きな。俺も手ぇ洗ってくる」  今しがたのことなど日常の事象のように、いつもとなんら変わらりのない吉田。  開だけが再び心臓が跳ね出すのを必死に隠していた。
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