649人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
「いやだ……や……ん、んんッ」
下腹にじれったさを感じ、ひとりでに腰が浮いた時、吉田が「お」と言って、手のアップダウンを早めた。
「……ンッ……!?」
鋭い痛みと、脳の中心が弾け飛ぶ感覚。
それが一つになり、体が大きくうねったあとにはもう、ティッシュがそこにかぶさっていた。
「セーフ。俺、ナイスキャッチ!」
吉田が歯を見せて笑って、処理に使ったティッシュを丸めて「シュート!」とゴミ箱に投げた。
まるで手加減無く遠泳を終えたあとのようだ。
激しい脱力感に、開は呆けてしまう。
吉田は、開の焦点の合っていない瞳には気づかず、目線がテレビ画面にあると思ったようで、
「終わってたな、DVD」
と言いながら、電源をオフにした。
それから開を振り返り「ほら、できてんぞ。見てみろよ」と顎で下腹を指した。
開は咄嗟に上体を起こし、下半身に目をやる。
制服のスラックスと下着がだらしなく足首にひっかかっている。そしてそこより上、初めて精を吐出し終えた開のものは、すっかり大人のかたちをしていた。
「終わり。あとは自分で拭きな。俺も手ぇ洗ってくる」
今しがたのことなど日常の事象のように、いつもとなんら変わらりのない吉田。
開だけが再び心臓が跳ね出すのを必死に隠していた。
最初のコメントを投稿しよう!