新章 帯電   第一話 真宙の高校入学

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新章 帯電   第一話 真宙の高校入学

四月、今日から学校が始まる、俺の所はまたにぎやかになった。 「きやー」「とう!」「びやー」 ヒデと亨が、ソファの上でチャンバラをしている、その横には悠輝(はるき)がボンボン跳ねていた。 「あーあ、泣かせるなよ、こっちも泣くぞ」 「ヒック」 「あー雄ちゃん、泣かない、泣かない」 さすが一人育てて来ただけある、剛志さん、あやすのはさすがです。 「こら、もう、ご飯、新学期早々遅刻する!座りなさい!」 千春が大きな声で呼んだ、これももう慣れた。 「ごめん」「いただきまーす」「俺先行く、行ってきます」 晶、帰ったらもらってきたの全部見せろよ。と言っている正さん。 「渉、またゲーム、さっさと食っていけ」 「はーい」 ゲームを取り上げ、それを見ているのは勉さん いってきまーす。の声がしている。 「なあ、おかしくない?」 俺はキッチンにいる聖に見てもらった。 後ろ見て、うんいいよとジャケットの裾を引っぱるとポンポンと背中をたたかれた。 「いいんじゃない?ハンカチ持った」 「うん、メガネ、こっちでいいよな」 「うん、いい、あの子は?」 「あー、ネクタイだ、真宙!」 俺は真宙の部屋の戸を開けた。 兄貴―と振り向いた真宙の首にはなぜかうまく結べないネクタイ。 「あー、もう、なんでかな?」 「だから言ったろ、簡単なのでいいんだってば」 「もう、お願い」 後ろから手を伸ばし真宙の手を取りながらネクタイを締める。 「よし、何とかしろよ」 「わかってるよ、もう、行けるの?」 「お前こそいいのかよ」 「いい」 秀人と剛志さん、結局自分たちの部屋明け渡しちゃいました、今じゃ一緒に住んでいます、まあ社長に言わせたら、こっちのほうが楽なんだろうけれど。ンで、雷、こいつもおれん所にやってきたが、龍の部屋に入るんだそうだ。 まあ、部屋が空けばそれなりに家賃収入はあるわけだし、居候が増えるということで、聖にはお願いしていた。 バス通学となる、電車でも行けるけど、遠い、兄ちゃんに送ってくれって言ったら甘えるなって言われた。 スーツに黒い伊達メガネ、一応マスクはしてきたけど、わかるのかな?女の子がこそこそいってる。 「おんなじ学校だな」 見渡せば同じ制服姿。俺たちは混雑したバスの吊革につかまっているが、その上のポールの方が楽なような気がした。 「うん、がんばんなきゃ」 「またバレーか?」 「んー、どうかな、俺さ、ダンスもやってみたいんだよね」 「へー、そんなのもあるんだ」 「今じゃ授業必須だぜ」 「そうか、良かったよ俺の時なくて」 「まあな、あれじゃあな」 「あれ言うな、こっちは真剣なんだ」 「わかってるよ、午後から仕事?」 「いや終わったら直で行く、まろ君来るし」 兄ちゃんがじっと見てる。 「な、なに?」 「いやー背、伸びたなって」 「それでも兄ちゃんより低い」 兄貴は天井に頭が付きそう、俺はまだ、つり革の上あたり。 俺の弟だもんな、どっかから声かけられたらサンダーに所属してるっいえよ、なんて。この時は冗談にしか聞いてなかったんだ。そんなことあるわけないよなんて。 二人並んで歩いていた。 「まひろー」 「おう」 「ノンちゃん、佐々木君またよろしくね」 兄貴は腰をかがめながら二人にあいさつ。 「こちらこそ」 「またお邪魔します」 「どうぞどうぞ、今日はお母さん?」 「うん、あそこ」 「俺挨拶してくる、あとは父兄のところにいる」 「じゃな」 また三年間よろしく。 おんなじ中学から来たのが何人かいる、その中でも仲の良かった、柏木典子と、佐々木康太。 康太は小学校からずっと一緒、三年間バレー部で一緒だった。二年の時はあの先生でだいぶ迷惑かけたけどな。 「おんなじクラスだといいね」 「おんなじ中学じゃ無理だろうな」 「そうなのか?あ、張り出されてる、探すの大変」 「まあ、五クラスだし、ゆっくり探そうぜ」 俺たちが行く、女子がこそこそ話してる。 「もてますのー」 「そうか?」 「身長伸びたらお兄さんに似て来たもんね」 「そうかなー」 「あ、まひろ発見、お前Aだ」 「私C」 「俺Eだー」 「離れちゃったな」 「あーあ、仕方がねえか」 「休み時間にでも行くし」 「ンじゃな」 「おう、さて、行きますか」
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