第2話

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「あ…った」 1枚の書類を取り出し、 寮長 柳井桔梗に渡す。 「『外出届」か一、どっかいくん?」 「ん、……おとうさんの、とこ…」 「あぁー!わかった、ハンコ押したるからちょっと待っとってなー!」 「ん…」 奥の部屋に入っていった桔梗を見送り、 手触り のいいクッションに頭を乗せ、 横になる。 「もふ…」 寮長室には、子猫が2匹いる。 今日はどうやら散歩に出かけているみたいだ。 「……んむ…」 とろりと瞼が閉じそうになり、 はっと目を開ける。自分の部屋まで我慢しないと。 がチャ 「確認したで一…ありゃ、 眠いんか?」 「…んん一…」 のそりと起き上がりふるふると首を横に振る。 「あはは、そんな眠そうな顔じゃ説得力ない で、少し寝てくか?」 「…………」 迷惑じゃないだろうかとじっと見上げてみる。 その視線の意味がわかったのか、 桔梗はにっこりと笑う。 「迷惑なんて思わへんよ、 仮眠室使ってええからゆっくり眠りい。ああでも、何時に起こせばいいか教えてくれる?」 「ん一…6時……」 「1時間やね。はいよ、じゃあこっちおいで〜」 ぐらぐら揺れる頭を、支えてくれる桔梗の肩に乗せる。
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