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序章:霧中の弓巫女
七つまでは神の内と言われるように、子供は死にやすくあの世に近い存在と考えられてきた。
だが、気を抜けば境界を越え異界に手を引かれてしまうのは大人であれ同じことである。
あの世から伸びる亡者の、妖の、神の手から命を守るため。
人は注連縄を張り、盛り塩をし、聖なる果実である桃を置き、鬼の嫌う豆を撒き幽世との境とする。
鬼は外、人は内。
人は外、神仏は境内。
鳥居 潜ればそこは異界。
人の世界とあの世の境界線は、結界と呼ばれる。
七歳の大戸 留美を怪異の手から守った結界は「音」だった。
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