会いたかったから(刀屋(おせつ徳三郎))

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嫉妬することすら許されていないのか? でも沸き上がるこの感情は嫉妬以外何物でもない。 恋人だと思っていたのに、結婚の話も何も気づかなかった。 え?何?俺が悪いの?もう誰に、どこに、怒りを持っていけばいいのかわからなくなって涙もでない。  地獄の一ヶ月は案外あっという間に過ぎて行った。 計画を立てる、それを実行するために使う道具をそろえる、頭の中で繰り返しシュミレーションする。時間が足りないくらいだった。  張り合いが出来ると仕事も順調だった。自分でも怖くなる程、バンバン契約が取れて、課長が何度も褒めてくれた。会社に入ってこんなに褒められた事などなかった。実に気持ちがよかった。  そしていよいよ当日。 タキシードを着ておろしたての靴を履いて車に乗り込んだ。必要なものはあらかじめ昨夜のうちに車にのせておいた。胸がどきどきと高鳴る。ついにこの日を迎えた。
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