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「もういいんですけど」
ベッドのそばに立つ超絶イケメンに言うと
「ぬわっ?え?え?は?」
「失礼ですけど、死神さんですよね?」
「ええ、はいはい、そうです、よく分かりましたね〜いや、最近の人は現実的っていうか、あんまり信じてくれないんですよね〜」
「…ていうか、いま寝てましたよね」
「な、何をおっしゃいますか、寝てませんよ!大事なご臨終の時に」
「よだれ、垂れてますよ」
死神は慌てて口を拭い
「…すみません…」と項垂れた。
「いえ、それよか、ほらもうピコンも途切れ途切れなので、もういいです、下らない走馬灯も終わりましたし」
「いえ、後5分あります、どなたか来られるかもだし」
「誰も来やしませんよ」
「でも規則なので」
「へえ、規則、仕事?大変そうですね」
死神が仕事かどうかは分からないけどそう水を向けると、死神は我が意を得たりと
「最近忙しくて、そういえばですね、聞いてくれますか、昨日なんて、」
と、ベラベラ話し出した。
それにいつのまにか引き込まれて
「何ですかそれ〜」
お腹が痛くなるほど笑ってた。
余命5分
嫌われるかどうか気にせず、後のことを考えずに会話が出来た。相手は死神だけど…超絶イケメンだし、まあいいか。この世のいい思い出ができた。
死んだ後思い出せるのかどうかは不明だけど。
それにしても5分ってこんなに長かったっけ?
「あの、もう5分経ってないですか?」
死神はそれには答えずに別のことを言う。
「楽しかったですか?」
「え?は、はい今とても楽しかったですよ、いい思い出になりました」
「そうですか」
「はい、ありがとうございました」
満面の笑みでそう答えた。
死神はこちらをじっと見た後少し何かを考えながら
「もう少しだけ生きてみませんか?」
ときいてきた。
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