贈り物(元犬)

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再び陽二サイド  目を覚まして、んーっと伸びをした時に、足がこつんと何かに当たった。 何だろうと思いふっと顔を動かすとそこに 見ず知らずの男の顔があった。 「ぎゃーっ!!!」 僕の叫び声に飛び起きベッドから飛び降りた男は…全裸だった。  もう一度叫ぼうと口を開けた時に、男は慌てて下着を履きながら 「待て、待て、叫ぶな、忘れてるのか?」 そう尋ねた。  そう聞かれて、思わず叫ぶ為に吸った息を止めると、少し落ち着いた。 そして大体の事を思い出したけれど、何で同じベッドに寝ているのかは思い出せなかった。 「説明する、説明するからお互い服を着よう」  服を身につけ、リビングに場所を移した。 俊介と名乗ったその人は、僕の入れたお茶を飲みながらゆっくりと昨夜の事を説明してくれた。     「酔ってたとはいえ、勝手に庭に侵入して、しかも全裸で寝るなんて、ほんっっっとに申し訳なかった」    僕が俊介さんを裸に向いてベッドに引っ張り込んだのに、起きた時は綺麗さっぱりと忘れ、まるで自分が被害者のように叫んだのに・・・ 俊介さんは僕を何一つ責めずに、 「自分が庭に入りさえしなければこんな事にならなかったんだから」 とひたすら謝る。 申し訳ないのはこちらもだと僕も謝った。 「しろってのは、いなくなったのか?」 俊介さんがおずおずと聞いてくる。 「はい」 僕は聞かれてもいないのにしろについて喋っていた。 「陽二さんの大切な家族だったんだな、そのしろが帰ってきたとぬか喜びもさせてしまったわけか…もう、ホントにすまん」  犬が人になる訳ないだろと呆れられる事はあってもこうして謝られるなんて思ってなかったので僕の方が驚いて慌てる。 「こっちこそすみません、あなたに好き勝手してこんな話まで聞いてもらって」 「いやいや、庭に入っちゃったのは俺だから」  お互い頭を下げあっているうちにどちらともなく笑い出してしまった。
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