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佐藤さんを見送った後、入り口のブラインドを締めて、掃除に取り掛かる。
カットスペースと待合。椅子2つのカットスペースだけが僕の掃除エリア。
椅子2つにしては待合はゆったりととってある。ここは文字通りこの地域のサロン。お年寄り達は、カットしてもしなくても、お菓子や飲み物を持参で集まる。待合はそんな集まって来た人達が掃除してくれる。
コンコンとガラス戸を叩く音で目が覚める。住居部分ではなく、店の方からだ。
眠い目を擦りながらブラインドを開けると、佐藤さんちのおじいちゃんがニコニコと立っていた。
ああ、そうかと、一つ息を吐いた後、顔をあげ、笑顔で戸を開けた。
「いらっしゃいませ」
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