冷蔵庫(へっつい幽霊)

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冷蔵庫(へっつい幽霊)

 久しぶりの一人暮らしをするにあたって、必要なモノを書き出したリストを眺めてうんざりした。こんなに買い揃えなければならないのか…。  取り敢えず、鍋と茶碗と箸とコップ、布団、家電は中古で十分だ。あとはまた必要になった時に買えば良い。  アパートから近いのでここでいいかと近所のリサイクルショップに入った。うろうろしていると、金髪に近い髪色のピアスの数が半端ない店員が近寄って来て 「何かお探しっすか?」と聞いてきた。  一人暮らし用の家電を探しているというと、おすすめを教えてくれた。悩むのも面倒くさくて、言われるがまま、洗濯機、電子レンジ、掃除機をそれぞれまあまあの品質、まあまあのお値段で決めていく。  冷蔵庫は少し大きめがいいなと見ていると破格の安さの大型冷蔵庫があった。省電力で電気代も安い。店員に安さの理由を聞いてみた。 「ああ、これっすか?これね、出るんですよ〜」両手を前にしてぶらぶらさせて見せる。バカにしてるのか? 「すみません、店長さんお願いします」 「俺っす」 「………」 「お客さん、本当なんですよ〜」 ぷいんと横を向き店を出ようとした俺を金髪店長さんが必死で止める。取り敢えず決めた家電はご購入いただきたいと泣きついてきた。
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