ガンバレダイスキー(居残り佐平治)

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伝票を片手にポケットに手を突っ込み、首を捻る。 体中を両手でバタバタ叩き、ポケットと言うポケットに手を突っ込み、大を見て、またバタバタと叩くを繰り返し、最後に泣きそうな顔で大を見た。 「財布が、ない・・・・・・」 見られたって困る。 「さっき、騒いでる間に、落ちちゃったのかも」 慌てて外に飛び出して、路地を探すがあるはずもない。 誰かが拾ってくれて、交番に届けてあるかもと言い出す。 「じゃあ、行ってみてください」 大が言うと、信じられない物を見る目でみられた。 「えええ?良いの?このまま一人で行かせていいの?帰って来なかったら?丸損だよ?無銭飲食だよ?経営大丈夫?」 心配そうに言い募る顔を見て、どの口で言ってるのか、なに目線なのかと、呆れを通り越して苦笑いしてしまう。 「じゃあ、一緒に行きます」 そう言うと、今度は、 「ええ?他にお客さん来たら、どうすんの?せっかくの儲けを、みすみす逃すかもよ?」 ときた。 「あああああ!うるさい!とっとと行って来い!そして絶対帰って来い!」 堪らず叫ぶと、 「ご、ごめん、分かった、これ、これ担保に置いていくから」 須藤は腕時計を外すとカウンターに置き、跳び出していった。  どうせ大したことない時計だろうと手に取った。 ブランドものなんか良く知らない。刻まれたアルファベットを拾いながらスマホで調べる。 「んひゅっ」変な声が出る程の高価な時計だった。
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