不思議譚

頑張ったね

「ざっとですが、以上で説明を終わります」

「さて、ちょっと休憩しましょうか。飲み物おかわりはいかがですか？」

「え？どうせ地獄だ？」

「だーかーら、それを決めるのはお二人ではないですよ、第一、お二人とも頑張ったじゃないですか、そうですよ、頑張られましたよ」

「え？ええ、そうですね、はい。その行いについては、現世ではそう言われているようですね」

「ええ、勿論です、断じて、断じて、推奨してるわけではないですよ、私達の通常業務だって、そそのかしてそうした場合はポイントになるどころか、ちょっと大変な事になりますからね」

「だけど、あなた方は、良く頑張りました。もう誰も責めたりしません、だから、ご自分もそうしてあげてください」

「本当に、本当に、お疲れさまでした」

「あ、ちょっと、しんみりしてしまいました、新たな旅立ちにすみません」

「お飲み物はもういいですか？では、行きましょうか」

「そうそう、言い忘れてましたが、道中、温泉もあるんですよ、創業千年越えの超老舗旅館も、最新のゴージャスホテルも、アクティビティも充実、せっかくなのでね、思う存分寄り道して楽しく参りましょう、ね？」

「それと、これお渡ししておきますね、優待券です、え？何の？」

「裏に書いてますのでお読みください」

「天国ってことか？　ええ、そうですよ、頑張った方には全員もれなくお渡ししています」

「ね、大丈夫でしょ」

「さあさ、行きましょう、行きましょう」

─了─