あらすじ

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あらすじ

 ある日、旦那寺で説法を受けた伊勢谷ケチ兵衛、帰るなり息子を呼びつけると、気の良い息子は素直にやって来ます。  旦那寺の説法は、人は死んだらあの世というところに行って閻魔様に裁かれて、善人は天国へ、悪人は地獄へ行くと言うものだったと説明。  ケチ兵衛は、『世の中、金』を信条として生きて来た人間。  金で買えないものは何もない、人の気持ちさえ金で買えると豪語。 それでも思えば阿漕な事をたくさんして来たとは思っている。多分このままでは、地獄行き、そこでな、と言うと、先回りした息子は、わかりました、今からでも善行を施すために、どこそこへ寄進、どこそこへ寄付するのですねと答えます。    ケチ兵衛は、呆れたように、そんな勿体ない事はしない、そんな甘い事を言うから安心してお前に代を渡せないんだとボヤきます。  では何をするつもりですか?と息子が問えば、さっきも言った通り、世の中金だ、地獄だってきっとそうに違いない。  昔から言うだろう?地獄の沙汰も金次第って、だから、そうだな、百両もあれば良いだろうから、私が死んだら棺桶に入れておくれ、それを賄賂に天国に行くと言います。    言い残して安心したのか、暫くしてケチ兵衛が亡くなります。  優しい息子は言われた通り百両棺桶に入れようとします。 それを見咎めたのはケチ兵衛の弟、息子の叔父です。 何をそんな勿体ない事をと諌めます。何より金を土に埋めるなんてことがバレたらお上に叱られると止めさせます。  息子は息子で、父の遺言でもあるしと困ります。叔父は最近見た演劇で金をばらまく場面を見た。何と勿体ないと思っていれば贋金だという。間近で見たが良く出来ていた。アレを入れとこうと提案、息子もそれならばと話しが纏まります。  そうとは知らないケチ兵衛は、大手を振って閻魔大王に袖の下を渡し、まんまと天国に行ってしまいました。  牛頭、馬頭、青鬼、赤鬼が袖の下を貰った閻魔をじっと見てると、それに気づいた閻魔。独り占めも出来ず、仕方ないみんなで繰り出そうと、冥界の歓楽街で大盤振る舞い。  その夜支払われた中に贋金があったと調べる内、支払ったのは閻魔庁、しかもその金が賄賂だったと突き止めた天国部の奉行所は、一斉に捕縛に乗り出しました。  次々と捉えられる閻魔庁の面々。 そのため、閻魔庁は今、素通りし放題。天国に行き放題。 ーここから噺家が客席に語りかけますー  と、こんな感じでこの落語はしまいです。しょうもない噺にお付き合い頂きありがとうございました。  え?何が言いたいかって、そらお客さん、わかるでしょ、え?わからない? だーかーらー、 『死ぬのは今』ですよ!  
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