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「“エデン”って名前の札をかけてから
・・・ううん・・・かける前から
一日に何べんもウチの前を
通ってはったよね?」
「ここで並河さんに話を伺って
あなたの顔を見て・・・
ウチのパン屋もたまに来てくれてた
人やなあって・・・」
「ワシもなあ、アンタがそこの西方寺で
御参りしてるの、何回か、見てるから
アンタの顔には見覚えがあってなあ」
伊助ジイサンが兄ちゃんの肩に
ポンと手を置くと・・・
「も・・・もうしわけ・・・ありません
迷惑を・・・かけて」
兄ちゃんは子供みたいに泣きながら
「初めてできた彼女に・・・
『ウサギが飼いたい』・・・と」
兄ちゃんは途切れ途切れに
女の気まぐれに振り回されて
僕を棄てることになったこと、
それから貯金のほとんどを
持ち逃げされて・・・
仕事もやめたこと・・・
僕の知らんことも・・・
みんなに話した・・・。
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