みんな持ってる魔法の手

5/11
前へ
/86ページ
次へ
「かのちゃん、風邪ひくよ。  ちょっと入る?」 いきなりお母さんが 声をかけたから 弾みで頷いたかのちゃんが ゆっくり入ってきて 手洗い、消毒・・・ 真面目なんや、かのちゃん。 「寒かったやろ、寒かったやろ」 僕の前のヒーターを お父さんはかのちゃんに向けた。 「はい、ホットミルク」 「ありがとう・・・ございます」 お母さんから両手でカップを 貰ったかのちゃんが ため息をついた・・・。 「どうしたん?この頃  元気ないやん?入試が  心配なんか?」 お母さんと一緒に かのちゃんの顔を覗いた。 「入試っていうか・・・  なんかどうせ勉強しても  こんな田舎で一生って  終わるんかなあって・・・」 ?・・・僕はそれでエエけど? 「お父さんとお母さんって  このまま居酒屋店主で  疑問はないんかなあ・・・  ヘンな病気が流行ってからは  儲けにならない弁当・・・  あ、すみません・・・」 「ハハハ、かまへん、かまへん」 「せやなあ、儲けにならんドコか  独り暮らしのお年寄りには  買い物までしてあげてる、  立派な親御さんやで」 そう❗お父さんの言う通り❗ でも、かのちゃんの顔は険しい・・・。  
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加