「そして、僕らは恋に落ちた」

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「わ、わたし・・・恥ずかしい。  一人だけ食べて・・・」 羞じらいの赤い顔のお姉ちゃんに 兄ちゃんの胸はドドド❗大太鼓。 「いえいえ、薦め甲斐が  ありますよ。美味しいでしょ?」 奥さんがニッコリ笑うたら お姉ちゃんは初めて笑顔。 「私、高校出てから七年、  和菓子屋で働いてたんです」 「そりゃ、味が解るはずや❗」 「ほんまやねぇ」 お父さんとお母さんが 笑いかけたら、素直にまた笑顔・・・ ホンマに可愛いらしいひとやから 兄ちゃんは指まで震えてる。 「今も?」 「・・・いえ、今は・・・  すみませんでした、手間を  おかけしまして・・・・」 あれ?また暗い顔して立ち上がった。 「いや、手間は当方ですわ。  小さい命と、子供らを  守って戴いて感謝です」 梅本先生も立ち上がって 頭を下げたら、みんなも 「ありがとう」 「ありがとうございました」 口々に御礼を言うた。 「あの・・・私のせいで  池にまで落ちてしまい  申し訳ありませんでした」 お姉ちゃんが兄ちゃんに 向かって言うと、 「そ、そんなあ、あなたのせい、  とかあ、ああ、あのあの  僕が勝手にぃ」 舞い上がってハッキリせぇへん。 「堀田くん、別嬪さんに  緊張するやろ?ハハハ」 梅本先生が豪快に笑うた。 「私、ホテルまで送りますわ」 「ありがとうございます」 しのちゃんのあとに続いて もう一回頭を下げて お姉ちゃんは帰っていった。 いつまでも見送り兄ちゃん・・・。    
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