「そして、僕らは恋に落ちた」

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子供たちのハシャギ声に 紛れながら、兄ちゃんが 庭に走ってきた。 「こここんにちはァ」 お姉ちゃんの顔をマトモにも 見られへん赤い顔の兄ちゃん。 「先日はありがとうございました。  Tシャツの汚れなんかは  とれなかったでしょ?  申し訳ありませんでした」 「あんなん・・・安物ですから  気にぃ・・・せんでも」 兄ちゃんは遠慮やけど 「貰うときや、堀田くん。  いっつもダサい服なんやから」 ゆのちゃんが笑いながら言うと お姉ちゃんはクスクスと笑った。 「お姉ちゃん、ここのパン食べた?  ゆのね、ここのジャムとアンコの  パンが好きやねん」 「ジャムとアンコ?」 「パンっていうよりロールケーキ。  薄い感じで交互にジャムと餡を  バタークリームにブレンドして  巻いてあるの。餡はね、前の  天風堂さんから仕入れていて」 マメゾーさんの説明に 「戴いてもよろしいですか?」 お姉ちゃんの表情がイキイキに。 「是非に食べていって。  梅本さんも召し上がるでしょ?」 「いやあ、嬉しいわあ。  お母さんもヨバレていくね」 奥さんはシンデレラに笑いかけた。 シンデレラは嬉しそう・・・ よかったあ・・・毎日、 梅本先生のトコでホッと 出来てるんや・・・嬉しいから 僕はまたシンデレラにチョイチョイ。  
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