「そして、僕らは恋に落ちた」

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10月になっても暑い日の 続く土曜日やった。 僕とひめりんはワンちゃんたちと “マメゾー” の庭の日陰ベンチ。 ゆのちゃんたち子供も来てた。 お店はランチが終わって お客さんも二組くらいの常連さん。 「ああ~~一息つけよう。  ごめんね、三葉ちゃん、  また、使うてしもて、ふふ」 ”マメゾー” の奥さんが笑うと 「とんでもない、私も楽しい」 笑いながらベンチに座ると、 兄ちゃんがコーヒーを運んできた。 「ありがとうございます」 「よかったら、僕のパン、  試食してください!」 なんかプロポーズみたいに 兄ちゃんはパンを差し出す。 「いただきます」 三葉姉ちゃんはパンをちぎって 切れ具合とか観察、一口味わう。 二口、味わって 「シットリした感じ・・・  朝食用と言うよりも  オヤツ的な?何かを  入れるおつもりですか?」   兄ちゃんは下を向いてたけど 思いきって 「三葉さんの餡を・・・  三葉さんの餡にふさわしい  パンを作りたいと・・・」 「私の餡なんて・・・そんなに  でも、餡に合うパンだと  私も思いました」 兄ちゃんの想いは 残念ながら伝わってないけど 三葉姉ちゃんが、兄ちゃんの パンを褒めてくれて嬉しい。 僕はひめりんのほうを向いて ピョンピョン🎵 ひめりんもピョンピョン🎵 そこへ・・・ 10fec88d-22bb-44a2-948f-14f59ad33327 「お久しぶりです」 「あら?!どなたかと思うたら  松堂さんとこの鈴ちゃんや  ないのぉ、めずらしい❗」 奥さんが声をかけた人は 近くの“松堂法律事務所”の娘さんで、 今は名古屋で弁護士をしてる。 「おお❗ワンちゃん達も  元気そうだし・・・うわあ  ウサギさんまで揃って  ここは楽園やなあ、ハハハ」 デッカイ体を揺すって笑うた。 「 あ・・・! 」 デッカイ鈴ちゃんを見た 三葉姉ちゃんは背中を向けたけど 「お久しぶり、福本さん、  福本三葉さん」 鈴ちゃんの声が呼び止めた。
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