「そして、僕らは恋に落ちた」

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僕とひめりんの間に 座った三葉姉ちゃん。 「私・・・両親は知らないんです。  ずっと施設で生活してきて  なんとか高校を出てから  『なみはる』さんでレジバイトから  工房に入れてもらって・・・  たまに覗きにくるあの人に  声を掛けられるようになって」 「こんだけの別嬪さんやもん!  ドラ息子は狙ってきたんだ」 いつの間にか来てたしのちゃん。 「他の職人さん達同様に  あの人も親切なだけなのかと  初めは思ってたんですが・・・」 「ロクな饅頭1個、作れんくせに  見せ掛けの優しさは  熟練者やからなあ、ドラ」 鈴ちゃんは僕の頭と ひめりんの頭を交互に 撫でながら続けた・・・。 「ただ、あんな”ダメな男”でも  ”好き“という気持ちに・・・  あの男なりの・・・・  ウソはなかったと思います。  『結婚したい』と親に  言うたくらいなんやから」 「で、親御さんは二の足を  踏んだと・・・・」 しのちゃんの合いの手に 「まずは”鬼ババ”ですね❗」  鈴ちゃんは角を出す真似までして 「エラい勢いで三葉さんを、  人前で殴りました・・・。  社長はそれ見ながら  何にも出来ない息子に  『無理や』と判断した  そうなんです・・・たぶん  三葉さんやなくても、誰でも  嫌なんやと思います」 「アカンなあ、子離れでけへんのは。  私なんか息子に嫁がきて  ヤレヤレほっとしたけど」 「ホンマや❗”マメゾー“さん  私も息子が好きな娘さんを  連れてきたときには  『ああ、この子も大人や』  って主人と喜んだもの」 梅本先生の奥さんも “マメゾー”に相槌、みんなも ” うんうん”言うてるのに ”鬼ババ“はキバをむくんや・・・。
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