「そして、僕らは恋に落ちた」

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「三葉さん、今後の身の振り方  なんですが、社長の口添えも  ありましたから、岐阜でも  静岡でも三葉さんならって  名乗りをあげてくれてる  菓子屋が幾つかあるんですが」 「ちょっと待ったや❗鈴ちゃん。  この天風堂も手をあげるぞ❗」 「待ってました❗お父ちゃん❗  三葉ちゃん、私もそうしてほしい」 アンちゃんの声に三葉ちゃん、 また、涙・・・それから 「お世話になっていいですか」 「なるんわ、こっちやで。  ワシもバアサンも年寄りや。  助けてくれるかあ?」 「そうくるって思うてました」 「鈴ちゃん、今まで通り  うちの”マメゾー“も  手伝ってもらうわよ❗」 「僕も❗僕も嬉しいです❗  三葉さんと働けるなら  嬉しいです❗❗❗❗」 兄ちゃん・・・恥ずかしいくらい 大声を出すから、みんな・・・ ヒイてるし・・・・・・。 「退職金と七年間の社内積み立ての  預金を、社長から預かって  きてますから、新しい生活の  足しにしてください」 「鈴子さん、退職金なんて  私、砂をかけるように  店を出てきたのに・・・  貰えません・・・・」 「あなたの考案した菓子の  幾つかの利益を考えたら   まだまだ請求してもいい  くらいの働きを、あなたは  『なみはる』にしてきましたよ。  それに受け取って戴かないと  私の”成功報酬“が減ってしまう」 「シッカリしてるなあ、  鈴ちゃん、相変わらず」 「当たり前やで、並河のおばちゃん。  うちのトウチャンみたいに  金儲け下手な弁護士の父親を  持ってたら、シッカリも、  ガメツク(お金に厚かましい)  もなるわあ、ハハハ」 つられてみんなも大笑い。 三葉姉ちゃんも声出して笑うた。
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