独りじゃないよ

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「いや…パパや…パパが…  仕事がたいへんで…家にいても  仕事のことばかりが…  頭の中をグルグルと…」 尚樹くんパパは 二人の横に座り込んだ。 「銀行は成績とか…  結果とか…恐ろしいトコやから」 「ああ、なっちゃんも  銀行勤めやったなあ、独身のとき」 僕のお母さんが言うと 「そこの田舎銀行やけど  田舎なりに大変やったわ。  ましてや都市銀なら…」 なっちゃんの言葉に みんなフウとため息。 「シンドイなら辞めたらエエ!  やり直したらエエがな!  アホやなあ、早いこと  言うてくれたらエエのに。  なんでも独りで考え込んだら  アカンねんて。夫婦もやで!  喧嘩して相談してや!  せっかく引っ越してきたんや、  住む心配はないし、食べるくらい  お母ちゃんの年金で食わしたる!」 うわあ、木島のおばちゃん 太っ腹〜〜~(マジ腹も) 「私もここでやり直したい…  チャンスをください!」 尚樹くんママが頭をさげると 「返事したりや!机の引き出しに  まだ役場へ持っていってない  離婚届けがあるやないの」 お見通しのオバチャンに 尚樹くんパパもビックリ…。 「…お騒がせしました…」 一言言うてから 「尚樹…パパを堪忍…」 尚樹くんを抱きしめた。 僕ははじめて… 尚樹くんの笑顔をみた。
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