200人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「……ぷっ、ははっ」
真っ赤な顔で、必死で意味の分からないことを叫ぶ会長に、つい目の前で笑ってしまった。
会長は、本当に変な人だと思う。
「な、なに笑ってんの……!?」
「いやー、会長ってバカだなーと思って」
「あのねぇ、そうやって何回もバカにして!」
「バカですよ」
他の男を好きな理由を聞いたのに、いつの間にか俺の話をしていたり、
……一緒にいるのは俺なのに、チラチラと何度も窓の外を気にしたり。
「やっぱり、もったいないな。矢野先生なんかを好きなのは」
この呟きは、会長の耳には届かなかったらしい。
「え?」と聞いてくるのを聞き流して、足を踏み出す。
近づく距離にびくつく様子を無視して、彼女の髪に触れた。
俺を好きになればいいのにと、そんな思惑を隠して。
end
最初のコメントを投稿しよう!