わるいこと、ぜんぶ。番外編①

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「……ぷっ、ははっ」 真っ赤な顔で、必死で意味の分からないことを叫ぶ会長に、つい目の前で笑ってしまった。 会長は、本当に変な人だと思う。 「な、なに笑ってんの……!?」 「いやー、会長ってバカだなーと思って」 「あのねぇ、そうやって何回もバカにして!」 「バカですよ」 他の男を好きな理由を聞いたのに、いつの間にか俺の話をしていたり、 ……一緒にいるのは俺なのに、チラチラと何度も窓の外を気にしたり。 「やっぱり、もったいないな。矢野先生なんかを好きなのは」 この呟きは、会長の耳には届かなかったらしい。 「え?」と聞いてくるのを聞き流して、足を踏み出す。 近づく距離にびくつく様子を無視して、彼女の髪に触れた。 俺を好きになればいいのにと、そんな思惑を隠して。 end
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