211人が本棚に入れています
本棚に追加
10
「俺も、したい。」
多分いま、顔色はきっとあまり良くないだろうし、後で上杉に心配されてしまうかもしれない。
だけど、ずっと触れたかった。
自分の体を拓かれる不安が無いわけではないけれど、それでも上杉にされたい気持ちの方が強い。
「だ、駄目だったら言ってください。すぐやめるので。」
抱きあげられて、ベッドの上に降ろされる。
それから、上杉は俺の制服のシャツを脱がせにかかる。
手が震えているのが分かって、愛おしくなる。
いつもの上杉だ。
優越感とかそんな気持ちじゃなくて、不器用で、でもいつも真摯に俺と向き合ってくれる上杉が好きなのだ。
「自分で脱ぐから。」
そう言うと、上杉は何故か双眸を下げて俺の頭をぐしゃりと撫でた。
そのまま、上杉は俺の首筋を舐めると息を大きく吐いた。
首に触れた息は酷く熱くて、上杉が興奮しているのが分かる。
今度は上杉の手は震えること無く俺のシャツのボタンを外した。
上杉と顔を見合わせてちょっとだけ笑う。
なんか、通じ合ってるみたいで嬉しい。
手を伸ばすと、半ば無理矢理上杉の頭を引き寄せると強引にキスをする。
舌を絡めると上杉の手が脇腹を撫でる。
ビクリと震えると上杉は口を離した。
至近距離で目があった。
上杉の瞳はいつものおどおどとしたものでは無く、情欲に濡れて揺らめいている。
俺の体に触れる上杉の手が熱い。
それが、上杉が俺の事を欲しがっている証拠みたいで、それだけで感じていやらしい声が出てしまいそうになる。
上杉が俺の胸を撫でる。
指先に乳首がかすめて、思わず声を上げてしまう。
女じゃないから感じるわけないと思っていたけれど初めての時、馬鹿みたいに喘いで醜態をさらした箇所だ。
「ちょっ…まっ、ああっ――。」
押しつぶす様につままれて声が止まらない。
縋る様に伸ばした手は上杉の腕をつかむ。
自分より太い腕をつかんで、まるで縋りつく様になってしまう。
いつもは、俺が話かければ必ず何をしていてもそれを止めて話を聞いてくれるのにこんな時に限ってやめてはくれない。
最初のコメントを投稿しよう!