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※視点変更 上杉 「え!?半田君が倒れた!?」 友人にそう言われ思わず立ち上がる。 座っていた椅子は、勢いで床に転がっているけれど、それどころじゃない。 あれ以来、軽蔑されたって言われるのが怖くて、半田君には連絡できなかった。 送れなかった大量のメッセージがスマホに下書きとして残っている。 じゃあ直接会って、謝って、謝りまくって許してもらおうと思ったけれどそれもかなわなかった。 そもそも、俺と半田君が顔を合わせることが無いのだ。 そこでようやく気が付いたのだ。 今まで半田君と顔を合わせて一緒に過ごせていたのは、半田君が俺に合わせてくれていたからだということに。 多分最初からそうだったのだろう。 自分のことでいっぱいいっぱいだった俺は、そんな事にも気が付いていなかった。 半田君の前に出ると妙なあがり症が発揮されてしまって、上手く何もできなくて、それを何とかするだけで精いっぱいだったなんて単なる言い訳だ。 だからこそ、一番大切な筈の半田君を泣かせてしまったのだ。 「それで、彼は今どこに?」 「とりあえず、保健室に運んで親呼ぶかってやってる。」 ということは、まだ半田君は学校にいるってことだ。 「ちょっと、保健室行ってくる。」 俺がそう言うと、保健室に半田君がいるってことを教えてくれた友人が「俺も行く。」とだけ言った。 保健室につくと養護教諭が一人ぼんやりとしているだけで、半田君について聞くと母親と連絡は取れたけれどしばらくが学校に来れないかもしれない事、それから半田君は多分貧血でそれほど心配することは無いという事を教えてくれた。 「顔を見てもいいですか?」 俺が聞くと、先生は騒がしくしないようにねとだけ言って、部屋を出て行ってしまった。
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