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6
※視点変更 半田
目を覚ますと自室とは違う天井だった。
黒いシミに似た模様の天井で、ここが学校だと思いだす。
そうだ、俺は学校で突然気分が悪くなって……。
授業に出ねばと体を起こそうとしたところで視界に上杉のくせっ毛が写る。
なんでと一瞬思ったが、倒れたのが上杉の友人の前だったからだとすぐに気が付く。
多分、友人に言われてここに来たのだろう。
「半田君、目覚めた!?」
あわあわと話かけられ、思わず二度三度瞬きをする。
上杉も断ればいいのに、律儀なことに付き添いまでして馬鹿だ。それを嬉しいと思う自分は多分もっと馬鹿なのだろう。
「せんせー、半田君目が覚めたみたいです。」
上杉に呼ばれると保健室の先生がベッドを仕切っているカーテン開けてのぞき込む。
「大丈夫そう?」
「はい。ご迷惑をおかけしました。」
「お母さん、もうちょっと時間かかりそうっていうけど寝て待ってられる?」
「はい。……いえ、大丈夫そうなので一人で家帰ります。」
母は仕事中の筈だ。病気ならまだしも恋愛関係のゴタゴタで不摂生をしたから迎えに来てもらうというのはさすがに憚られる。
「お母さんにはもう連絡してあるんだけど……。」
先生に言われて、じゃあ、自分から母に連絡しますとスラックスの後ろポケットからスマホを取り出す。
「じゃあ、先生。俺半田君の事送ってくから!」
上杉がまるで叫ぶみたいにそう言う。
「授業はどうするのよ。」
先生は諭すみたいに上杉に言う。
それをぼんやりと眺めながら、無理をする事は無いといつ口をはさもうかと思う。
多分貧血というやつなのだろう、頭がぼんやりとしていていつもの様に上手くできない。
「半田君は大切な人だから、授業よりこっちの方が重要なんです!」
言われた言葉の意味が分からなかった。
友人としてという事だろうか。
俺と上杉の間に、恋愛感情を除いて何かが残るとは思えなかった。
だからこれは、少しは期待していいのだろうか。上杉の気持ちがまだ俺に残っていると思ってしまっていいのだろうか。
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