211人が本棚に入れています
本棚に追加
9
別に、いい。
違う。違うな。
上杉がしたいだろうから俺が折れてやるって今までずっと言い訳してばかりだった所為でそんな事を考えてしまった。
俺がしたいから言ったんだ。それだけだ。
ずっとそれだけだったんだ。
目をつぶると、上杉の息が口元にかかる。
それから、触れられた唇が柔らかくてそれだけで心臓はどうにかなってしまいそうだった。
多分自分の唇は酷くかさついている気がする。
だけど、そんな事どうでも良くなる位、もう上杉の事で頭がいっぱいだ。
上杉もそうだと嬉しい。
上杉は唇を離すと、俺の唇をそっと舐めた。
「体調崩してるの、完全に俺のせいだよね。」
半ば確信をもって聞かれてしまい上手く否定できない。
「唇かさついていて、気持ち良く無かった?」
ああ、もう!上杉はそれだけ言うともう一度キスをくれた。
自然と目を閉じて、それから見た目よりずいぶんとがっしりとしている上杉の腰に腕を回した。
口の中に入ってきた舌が俺の舌をそっと撫でる。
思わずゾクリとして上杉に伸ばした手に力がこもる。
そうすると上杉の大きな手が俺の後頭部に回ってがっちりと固定されてしまう。
反射的に逃げようとする体を封じられる形で口内をくまなく舐められる。
唇が離れた時にはもはや息があがっていて体の力が抜けてぐったりとしてしまう。
「半田君が具合悪いのはちゃんと分かってるんだけど、ゴメン。
……今ものすごくしたい。」
後頭部を押さえていた手が頬を撫でる。
親指が確認するみたいに唇を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!