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初めて上杉を上杉と認識したのは教室で、隣のクラスに貸した教科書が実は上杉に貸したことになっていたらしく、真っ赤な顔をした上杉が震える手で教科書を返して来た時だった。 今にして思えばこの時上杉の友達は皆、知っていて協力したという事なんだろう。 それから、教科書のお礼だと言って購買のパックジュースをおごってもらった。 それも、切り出すまで「あ、あー……。」とか「その……。」とかを繰り返していたのはいい思い出だ。 初めて、一緒に帰ろうと誘われたとき、上手く切り出せない上杉をぼんやりと放課後の教室で眺めていた。多分1時間後位にようやく切り出せた上杉に、少しだけ笑ってそれで一緒に帰った。 告白は俺からの様な、よく分からない状況だった。 上杉が覚悟を決めるまで待ち続けると10年でもそのままになりかねない気がして「早く俺の事好きって言え!」と馬鹿みたいに叫んでしまった。 今思い出しても馬鹿みたいだったと思う。 最初から、俺が告白しておけば良かったんだ。 上杉をいつ好きになったかというのは、未だに自分でもよく分からない。 なんとなく、真っ赤になってそわそわしている上杉を見ているうちに絆されたのだと思う。 でかい図体に似合わず、ふわふわと喋る上杉を見ていると飽きないってのも大きいのかもしれない。 兎に角、別にあいつが切り出すのを待つのはそこまで苦では無かったし、自分から切り出す事も多かった、筈だ。 だから、上杉が思わずといった風に俺の手を振り払ったのを見て、少々、いやかなりショックを受けてしまった。
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