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そんな時、トイレに駆け込んで来た人がいた。
「えぇっ」
驚いた声。
……まさか、こんなへんぴな所にあるトイレに、しかも昼休みが終わったばかりのこの時間に、こもっている人間がいるなんて思わなかったのだろう。
……しかし、彼女も私と同じく緊急事態だったのだ。
「オェェェェェェェ…………」
隣のトイレから、隠しきれない程の嗚咽が聞こえて来た。
そして、私が彼女の吐き気を助長させてしまったかもしれない(音とか、臭い的な件で)と申し訳なく思いながら、そろそろとトイレから出てきた私と同じタイミングで出て来たのが、佐藤で……
聞いてもいないのに、私、妊娠してるんですと言った挙げ句に、今日の飲み会でサプライズ報告しようと思ってるから、先輩絶対に内緒にしてくださいねなんて頼まれて……
不運な事に、佐藤の秘密を知ったものとして、私は彼女を見捨てられずに、今公園にいるのだ。
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