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「けどさ……アンタ、気持ちいいくらいに悪者になってたね」
確かに、同期のアイツと、葉子さんは長いこと付き合っていた。
だからって別れた恋人の婚約祝いの飲み会に乱入して、ヨリを戻してくれって泣き叫ぶなんて、正気の沙汰じゃない。
そして、それを受け入れたアイツも、同じくどうかしてる。
「みんな、まるで見てきたように言いますよねー」
最後には、普通に付き合って、普通に恋人と婚約したはずの佐藤が、まるで愛し合っていた二人を引き裂いた悪女のような扱いになっていたのだ。
「ねぇ、先輩。私ね、実はあの人が初めての人だったんですよ」
「……へっ?ハジメテって……あの、『初めて』?」
「えぇ、そうです」
「……そんなに、バインバインなのに?」
「何ですか、バインバインって」
ハハッと乾いた笑いを浮かべる佐藤は、まだ二十代前半のくせに、アンニュイな色気を漂わせている。
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