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「稀一さん……、ありがとう……」
どれだけ地に堕とそうとしても、すぐに大きな翼を広げて高く舞い上がってしまう。
稀一の誇り高い仕草に、蒼生は震えた。
「これで、また付き合ってくれるな?」
「はい」
蒼生の返事に、稀一は照れたような顔を向けた。
「はい、じゃなくて、うん、と言ってくれないか」
「え?」
「今度は対等の人間として、付き合いたいんだ。敬語はもう……、やめよう」
蒼生の瞳から、ぽろぽろと涙が零れた。
「ほら、泣かないで」
「はい……、うん……」
涙を流す蒼生の背を、稀一は優しくさすってくれた。
頬にこぼれた涙の粒を、静かに吸いとってくれた。
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